松本とし子

まつもと 敏こ
日本共産党平塚市議会議員
議会の取り組み

5月臨時議会 次期環境事業センター工事請負契約で紛糾。

2010年5月17日

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 いま平塚市では、PFI的手法の中のDBO方式によって、ゴミ焼却場の建て替え工事と20年間の管理運営委託事業を進めています。今回の5月臨時議会に、この次期環境事業センターの「工事請負契約の締結」が議案として出されました。

 この予算額約112億2300万円の建設工事請負契約が議決されると、それに伴って「運営業務委託契約」「輸送業務委託契約」「焼却残渣資源化業務委託契約」の費用あわせて203億4700万円余の契約が一気に効力を発生するという、平塚市にとっては初めての契約方法のものです。

ところが、初めての手法にもかかわらず、焼却炉の型の選定も事業者選定も「公平・適正の観点」という理由で一切公開せず、決定したことだけが公開されてきました。

そして今回、予算の議決を求める段になっても、不可解なことが次々と・・・!

○契約書の内容を議員が請求しても「情報公開請求してください」といって資料を出さない。

○契約書を手にしてみると、「運営業務委託契約」では、不可抗力の際の「負担額」が、年間の運営委託費の1%までは事業者側、それを超えた場合は、越えた額を市が持つということになっている点で、「市の負担が大きい」ことから変更を求めると、「これは、国の基準にのっとって作成されており、平塚市だけが変更すると、契約が成立しなくなるので、変更できない。」との説明。

それでは、その「国の基準」を見せてほしいといっても、違うものを出して「これに準じている」というだけ。「運営委託」に関する国の基準などないことが判明したのです。

さらに、同じDBO方式を採用している近隣市の「不可抗力」という部分での契約は、運営の固定費を支払うのみとなっていました。「施設にゴミが搬入されたら、その時点で事業者側の管理責任となり、そこでの事故は事業者側にある」とし、契約の中で市の負担を極力少なくしていることがわかりました。

平塚市では、リサイクルプラザで火災事故が発生し、多額の修繕費がかかったことは、皆さんも記憶に新しいと思います。この事故も、調査しても「原因」を特定できませんでした。こうした事故が、「不可抗力」になりかねないのです。

年間運営事業費は約2億1700万円です。その1%というと、217万円。修理に5億円かかっても、事業者は217万円で、あとの残額は全部平塚市が負担するというもの。

これに引き換え、近隣市の契約は、施設で起こった事故は事業者側の責任であり、「不可抗力」で支払うことになるのは「地震で壊れるか、飛行機でも落ちたときくらい」というのです。そして、万が一事故が起こった場合で、事業者負担があまりに大きい時は、両者でかける保険で対応するということも、契約の中に明記されていて、非常にすっきりとした契約となっていました。

○平塚市は、リサイクルプラザの経験から、事業者側に、ゴミの搬入の際「目視」を義務付けたといいました。

契約書を見ると「受け入れ設備において目視を行い、受け入れた処理対象物の中に処理不適物がないことを確認するよう努めなければならない」となっているのです。

「努めなければならない」というのは、努力義務であり、日本の法制上、違反しても罰則やその他の法的制裁を受けない作為義務・不作為義務のこととされています。施設内での事故の一番危険なリスクの部分が、こんなあいまいな言葉で平塚市は満足していたことになります。

  • 炉の選定にも、市のスタンスを示せなかった。
  • 炉や事業者の選定は、全部「事業者選定委員会」にゆだねられ、そこで決定していった。
  • 契約書を出そうとしない。
  • 契約の変更を要望しても、「国の基準」と偽る(そういわれていたのか・・?)。
  • 他の自治体の状況をまったく把握していない。
  • 事前の質問に即答できず、後日に回答。
  • 自ら作成したら、ありえない文言のあいまいさ。

炉の選定から事業者選定、契約書の作成まで全部、選定委員会とある事業者に丸投げであったとしか考えられない、お粗末な内容です。

「第2期 財政健全化プラン」といって、次々と市民の負担を強いて、今年度からさらに、高齢者を始めとした福祉の切り捨てを進める一方で、他の自治体では考えられないほどの事業者優遇が行われていることが、今回はっきりしました。

売電に関する契約の説明では、市は「事業者にインセンティブを持たせる」ために、運営費に売電費用を入れ込んだと・・。基準の額よりいっぱい売電すれば、その分自分の儲けになるから、がんばって仕事をしてもらえるという訳です。

ゴミの減量が進み、売電が減少したら、平塚市は減少した割合によって補ってあげる契約にもなっているのです。市民感覚では考えられません。

近隣市では、こうした「運営に当たっては、他の収入を当て込んだ契約が一番危険」と指摘しています。

市民派の会・江口・厚見議員・共産党市議団は、この議案に反対しましたが、賛成多数で可決されました。


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