松本とし子

まつもと 敏こ
日本共産党平塚市議会議員
議会の取り組み

大分県にあるセメント工場を視察してきました。

2009年5月28日

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いま全国どこの自治体でも、最終処分場をいかに延命化させるかということで、ごみを焼却した後に出る「焼却灰」の処理に苦慮しています。

平塚市でも、次期環境事業センターを管理運営する事業者の公募条件に、「焼却残渣(飛灰・焼却灰またはスラグ)全量の資源化を行うこと。」

「ストーカ式もしくは流動床式焼却炉の場合は灰溶融炉を設置、もしくは灰のセメント原料化を行うこと。」としていることから、26日に大分に行き、焼却灰(焼却残渣)をセメントの原料としてリサイクルするシステムを視察してきました。

大分県津久見市にある「太平洋セメント工場」では、都市ごみ焼却施設の焼却灰をセメント原料に加工しています。こうすることで、最終処分場の延命とセメント材料である石灰石等の天然資源の使用量削減を図れるとしています。

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すぐそばには大きな新津久見鉱山があり、セメントの主原料である石灰石を出鉱していました。推定埋蔵量45億トンと言われる石灰石の大鉱脈を工場の背後に有し、その山を4つの企業が掘っているといいます。

この太平洋セメント津久見プラントは大正6年に「桜セメント」として操業を開始し、約90年間山を掘り続けてきたといいます。「山がなくなったらどうするんですか?」と聞くと「90年掘ってもまだこんなにあるんですから大丈夫です」との返事でした。年間3千万トン掘り出していると言いますから、45億トンだと150年間掘れる計算になります。

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焼却灰は先に金属や異物を除き、左に見える「焼成用ロータリーキルン」で1450度の高温で無害化し、灰に含まれるセメント原料として必要な成分を有効に利用し、石灰石を80パーセント含むセメントとして作られているといいます。現在、「クリンカ」という半製品にしてナイジェリア・ケニア・ニューギニア・フィリピンなどに輸出しています。

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丁度キルンの1つをメンテナンスしていたので、中を見せていただきました。この中で1450度の灼熱で焼却灰や下水汚泥などが焼成されて、その後冷却し、セメント原料となっていくのです。

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 焼却場建設の際、灰溶融炉を建設・運営していくには、多額の費用(数十億円)が別途にかかり、その上出来たスラグの資源化の販路もせまく、結局敷地内に山積みとなっているのが実態で、維持費ばかり高くなると多くの事例が示されています。ならば、灰溶融炉などつけずに、焼却灰の資源化を進める方が現実的だと言えます。

 しかし問題は、ここに入れる「都市ごみ」とは、下水汚泥・焼却灰・廃液・廃プラ・廃タイヤ・廃油・木質バイオマス・RDF・廃タタミ類と言います。
廃棄物を利用したセメントの「無害化」がどういう水準かということが今回の説明では充分納得いくものではなかったこと。

さらに、飛灰には塩素が多く含まれており、「セメント材として使用するには水で洗い流し塩素を抜く必要があり前処理にコストがかかる」と説明があり、使用後の長期的な安全性の保障、価格、資源化するまでに使用するエネルギー、二酸化炭素排出量など、まだまだ多くの課題があるまま進められているのが「焼却灰の資源化」の実態だということを感じてきました。


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