松本とし子

まつもと 敏こ
日本共産党平塚市議会議員
活動ファイル • 議会の取り組み

中学校の授業に「銃剣道」を導入する危険性

2017年7月6日

「銃剣道」が、今年3月末に新中学校学習指導要領で保健体育の「武道」の選択種目の例として明記されました。

この報道があったすぐあとに、元自衛隊員だった方が我慢できないとばかりに訴えてきました。「銃剣道を中学生に教えるなんて、教育として間違っている。絶対にやめさせてほしい。」と。

銃剣道の有段者であるこの人は「自衛隊では銃剣術を職業軍人として教育される。銃剣術は心臓を突く人殺しの術です。防具は付けているが衝撃は相当なもの。」と自身の体験を語り、自衛官の仲間も「これを学校で教えるのは危険だ」と話しているというのです。

国会で共産党議員の「銃剣道の訓練中に死亡したのは何人か」との問いに、この程「死者は2人」との回答がありました。「木銃で突かれたことによる衝撃が原因」というのです。そして、昨年1年だけでも自衛隊員が銃剣道の訓練中に負傷し、公務災害に認定された数は59件あったといいます。

銃剣道は相手の喉や左胸(心臓部分)を突く競技です。だからこそ自衛隊関係者からも「学校で絶対教えるものではない」との声が上がってきたのです。

●銃剣道は、明治以降に軍事教練として発展してきたもの。だから他の剣道・柔道などの武道と違い、約9割が自衛隊員で占めている「軍事教練としての武術」が色濃いものであること。

●剣道にも「突き」がある。しかし危険なため中学校では「突き」は禁止されている。ところが、銃剣道は胸や喉を突く「突き」しかない競技であること。

そこからもいかに危険であるかがわかります。

平塚市立土沢中学校が全国で唯一「銃剣道」を授業に入れていたことが報道されたことを受け、6月定例会を目前にした5月下旬、私たち市議会議員有志7名(共産党議員3名を含む)で、教育委員会に説明を求め行ってきました。

 平塚の中学校が全国に先駆けて始めたきっかけは、1人の教師の進言だったといいます。この問題を整理すると、

●この「銃剣道」は今回の新指導要領で授業の選択科目に明記されたことから、大きな議論となっているのです。つまり、「武道」の仲間ではあっても指導要領にも明記されていない科目を中学校で取り入れるかどうかを、教育委員会にもどこにも相談なしに「校長の権限で出来ること」(6月議会でも答弁)としていることに、非常に甘さを感じる。

●銃剣道が危険というなら、剣道だって同じ。しかし、銃剣道は剣道や柔道より怪我が少ない。生徒はゲーム感覚で出来て楽しいと言っている(議員有志が求めた説明の中で)といいます。平塚の中学校がきっかけの一つとされて全国の中学校で「銃剣道」が導入された。そのきっかけとなった平塚の中学校ではどういう「銃剣道」を指導していたのか。

それはとても「銃剣道」とは程遠いものでした。

工事現場でよく使う「とんがりコーン」の上に厚紙でできた筒を置き、その上にボールを乗せて木銃で突き、先にある的のどこに当たったかで点数を競うという「ゲーム感覚」のものを、「武道」と称して指導していたのです。

このどこが「武道」なのでしょうか。しかし、これを「銃剣道を唯一やっている中学校」という宣伝によって「銃剣道の中学校進出」の役割を果たしたのです。この「銃剣道の指導法研究事業」を受けた中学校は全国で数校ありますが、授業で取り入れてきたのは結局、平塚市の中学校だけだったわけです。

この木銃は銃剣道連盟から40数本寄付していただいたと、「教育費予算が緊迫している中、教材費を節約できた」という感覚で語ることにも軽さを禁じ得ませんでした。

私の所に、県内外から「危険」を案じる異口同音の声が寄せられています。

今なぜ学習指導要領に「銃剣道」を入れなくてはならないのかの根本が問われるべきではないでしょうか。

写真は「平成28 年度中学校武道授業(銃剣道)指導法研究事業」↓
http://www.nipponbudokan.or.jp/…/…/H28_shidouhou_jukendo.pdf
の報告書から引用させていただきました。

銃剣道もどき


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