松本とし子

まつもと 敏こ
日本共産党平塚市議会議員
活動ファイル

市営住宅の廃止を巡り

2015年4月7日

岡崎市営住宅はこれまで「建て替え」としていた計画から、平成25年度(※)に「平成30年には用途廃止」という計画に方向転換し、住民は5年間のうちに移転を命じられています。170世帯あった住宅は老朽化のため、新たな入居者を入れずに来ていました。この決定を受け、数十年来生活を共にしてきた150世帯ほどの方々が、いまチリジリにここを去りつつあります。また、中原下宿住宅も耐震不足という結果を受け、市は廃止を決定しました。ここは全体で50世帯ですが、廃止決定当時約40世帯ほど。(※お詫び=「平成23年度」と書いていましたが、25年度が正しいため訂正いたします。)

岡崎住宅では、5年以内にと考えていた住民も、どんどん周りがいなくなるために、さみしさと焦りで、追い立てられるような気持ちで市が斡旋する他の市営住宅へと移転して行きます。毎年、市営住宅に入りたくてもなかなか空きがなく、順番を待つ市民の溜息が聞こえる中、岡崎と中原下宿住宅の移転の進捗度は非常に速いのです。なぜそんなに次々転居できるのか・・。

ペットの飼育は条例違反

いま、市内全市営住宅で違法にペットを飼っている人は、ペットを居なくしない限り撤去を命じられています。そのため、各地の市営住宅ではペット可の民間の借家などに引っ越す人も出ているのです。

岡崎市営住宅は昭和41年から44年にかけて造られた古いテラス住宅のため、長年住んでいる人もいます。中にはペットを飼ってはいけないという規則はあるが、高齢になり長年一人暮らしの寂しさから野良猫に餌をやっているうちに飼うことになったり、犬を飼う人も出てきていました。これは、岡崎住宅だけの問題ではなく、市営住宅全体で起こっていたことであり、これまでの市営住宅の担当職員も充分わかっていました。

私は市の職員と一緒にある問題で岡崎市営住宅に行ったとき、たまたま猫の飼育の問題が話題になったことがあります。「飼ってはいけないと言っても、結構飼っていますよね。」というと「そうなんですよ。入居時にはちゃんと説明はしているんですが、いつの間にかね・・。」という会話をしたことがあり、職員は十分現状を知っていました。管理している担当職員が、知らなかったという方が問題です。しかしこれまで、住民とのトラブルにまで発展すれば、ペットを飼うことは違反だと指導しても、住民同士問題が起きない限り対応はしてきませんでした。ところが2つの市営住宅の移転問題を機に、指定管理者にペットの有無を調査させ、ペットを飼っている人には〇月〇日までに市に来るように、このまま無視し続けたら退去を命ずるーーという文面がわたりました。しかし、市に行ったからといって結局は「動物を早く何とかしろ」と指導されるだけ。

内容としては、至極当たり前のことであり、第3者が聞けば「当然だね」と一蹴されかねないものです。しかし、根深い問題があることも事実です。ここに至るまで「見て見ぬふりをしてきた」・・・「これまで10数年飼ってきたが、一度も注意されたことはなかった」と言っている住民が多くいることからも、これまでの市の担当も無碍(むげ)なことはできないという思いもあったかもしれません。しかし、昨年「職員の法令順守」が徹底され、一気に「市営住宅条例に違反するものは出ていけ」という動きとなったのです。

私は、住宅課にいって困っている住民がいることを話し、これまでペットを見て見ぬふりをしてきた経緯があることを指摘すると「そんなことはない、もし、そんなことを言った職員がいるなら誰だ」と犯人捜し。そんなことではなく、これまでの市の対応も真摯に認め、その上で住民と話し合わなければ、高齢で所得も少なく、民間には住めない人を攻めたてて苦しませるだけです。泣く泣く知人宅にお願いして置いてきた人は、ご飯も喉を通らず3キロやせたという人もいるといいます。

高齢で知人もなく誰にも譲れない、ペット自体が高齢で病気がち、もらってくれる人などいない。こうした中、退去の期日を迫られ悲痛な思いで今後の棲家を考えあぐねています。それができない人は「動物保護センター」に連れていくしかないのか・・と苦しみます。

平成26年2月の説明会では「5年間のうちに出て行っていただきたい」といった。私たちは高齢であと5年生きているかどうかもわからない。古くて壊すのみというなら、このままペットと最後まで居させてほしい・・。高齢の人は下を向きながらポツリとこぼしていました。

「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正

今、高齢者や一人で住む若者もふえ、動物との共同生活の意義が認められ、民間でも「ペット可」の住宅がとても多くなってきました。そして、平成25年に「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正されました。それによって、飼い主やペット業者の責任や義務が強化され、飼い主はペットが死ぬまで飼い続ける責務がある事などが盛り込まれました。

この法律改正の目的は、動物虐待等の禁止により「生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資する」こととあります。確かに市営住宅でペットを飼ってはいけないことになっています。それでは、今まで黙認して何年来と飼ってきた動物を、今すぐ何とかしろ!と追い立てる行政のやり方は、この法律からするとどうなのか。「法令順守」の行政のやり方を問いたいと思います。

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住民がだんだん居なくなり、閑散とした市営住宅の敷地内には、いつもと変わらず見事な桜が咲いていました。


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