松本とし子

まつもと 敏こ
日本共産党平塚市議会議員
活動ファイル • 議会の取り組み

なんでこんなに高い?!平塚市の「小動物死体処理手数料」

2015年12月26日

平塚市は12月議会で、2016年度からペットの死体処理を、現在の「持ち込み」の場合1体につき5000円を7000円に、「引き取りに来てもらった」場合1体8000円の料金を、1万2000円に引き上げるという条例改正案を出してきました。

他市と比べても、異常な金額です。クリックを2回すると見えやすくなります。

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この値上げの考え方、使用料・手数料の考え方は今後に大きな影響を与えるものであり、到底容認できません。

平塚市議会では、多くの議員が市長提案に無条件に(討論もなく)賛成する議案が多くなっています。しかし、今「議会改革」が叫ばれ、議員の仕事は「市政に対するチェック機能」という基本に立ち返ったら、議論もなく、なんで賛成なのかの意思表示もなく、ただ賛成していることは、市民に対し許されないことです。

今回の手数料改定が出された背景には、「動物の死体については、市民が全員動物を飼育しているわけではなく、好きな人たちのみが飼っている。税の負担・公平性からいえば、100%徴収が妥当」とする平塚市廃棄物対策審議会の答申があります。

審議会は、この金額がはじき出された大本を調べたでしょうか。その金額というのは平成24年度に市の担当部署で作られたものです。(平成25年度に値上げするための資料として、平成23年度の実績を基に計算したもの。)

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上の表は、①で小動物を燃す費用の全体を出し、②では頭数で割ったら「6161円」になった。③では、「今徴収している額は1体につき5000円」だというものです。

下の表は、死体を引き取りに行くガソリン代や人件費などが記載されています。しかも消耗品費には「平塚市の東西明細地図」まで入っています。その費用が1体当たりにすると「6360円」になり、引き取りをした場合、燃す方と合わせると「1万2521円」になるというものです。

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しかし、平成25年度の改定時には「激変緩和」で、1体の焼却は5000円のまま、引き取りを希望した場合は8000円にしていた。今回は、その激変緩和をなくし、正規の100%をもらうというのです。

死体処理は6161円なのに、なぜ7000円とるのか。平成23年度の時点で計算した時は人件費902万余円だったが、現在1167万円になっている。これが回答です。

平塚市には「使用料・手数料の算定基準」があります。

●そこには「原価は、利用者が負担することが妥当だと思われる必要最小限の経費で、サービスに直接的かつ継続的に係るものとし、特に人件費は施設の維持管理や役務の提供等に要するものに限定する。」とされているのです。

この2通りの試算に入っている「人件費」は、それぞれ正規職員1人と再任用職員の0.5人分を入れているという。しかし、その職員は普段はごみ収集の仕事をしながら週に2~3回の焼却、電話連絡での道路で死んでいた動物の引き取りや家庭からの引き取り依頼に出かけることをシフトでこなしている。つまり、ちゃんと市の税金から給料が支払われている職員です。

しかも、この家庭からの「小動物死体処理」に対する市の基本は何かというと、市の担当課が審議会で説明しているように、「動物の専用炉は、路上でなくっている動物を焼却する目的でつくられました。その余力で皆さんが飼っている動物を焼却しているという運用」だと言っているように、余力なのです。

算定基準には、「原価に含めないもの」が記載されています。

それが①施設の減価償却費、②施設の大規模修繕費、③備品購入費です。

「施設そのものが『市民全体の財産』であり、市民のだれでもが利用できるとの考えから、公費で負担する。」と謳っています。

焼却の費用には「減価償却費」として、315万8000円が記載されています。「余力」のサービスのはずが、「あんたたちのために作った施設」と言わんばかりです。

備品購入費は入れないとされているにもかかわらず、焼却、収集の両方で20万2230円。道路の死体収集に使う明細地図まで入れている。こんなことが許されるでしょうか。

使用料7000円、1万2000円の根拠となる金額2283万3000円余のうち、人件費と減価償却費と消耗品費で2109万余円。大半が違法な金額です。

私は環境厚生常任委員会で、この使用料改定は、この算定基準に違反していること、他市が上げないのは今の市民生活の実態を考慮したものであることをいい反対しました。委員会で最初迷っていたという江口議員も反対に回りましたが、他の議員は何の疑問も質問もなく、賛成。最終日も結局この使用料は議会で可決されました。反対したのは、共産党議員団3人と無所属の江口議員、端議員の5人のみ。

平塚市の福祉施策では、県内の真ん中より下を維持し、何年も訴え続けてようやく1つ1つ改善される一方、こうした市民への負担は「税の公平性」「受益者負担の適正化」を理由に、他市の状況も顧みず、「他市が追従しないのであれば、平塚市独自のやり方で進めればいい」と言い放つ審議会。

しかも、この根底にある考え方「ペットを飼っている人は一部分、その人たちが負担すべきで、全体の税金を使うな」は、一見当たり前に思えるのですが、これがエスカレートすると大変なことになる危険を感じます。子どもがいない家庭では、「子育て支援、子育て支援・・と、どれだけ使うんだ。」  学童保育は一部の子どもが使う施設だから・・。スポーツ施設は使う人だけが負担しろ・・。公民館なんか行かない、使う人が負担して。・・・となりかねないからです。

平塚市は、「公」の仕事をどう考えているのか。平塚市は今度の「総合計画」に「全体最適」という言葉をあえて出してきました。この言葉を出してきた意味はなにか。私は非常に危機感を持っています。

伊勢原市では、専用の炉がないため業者に委託しています。その委託料が5400円。今まで委託料より安く受けていたため、今年度から市の持ち出しをやめて5400円にした経緯があります。平塚市は本来の業務の「余力」と言いながら、とんでもない金額を市民に押し付けているのです。

法令遵守を条例化した平塚市、今回の手数料の改定を是とした、落合市長の根本姿勢が問われる問題です。


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